滋賀に帰省した折、琵琶湖のサンセットを眺めながら食べられるレストランで食事をした。
そのレストランは「人里離れた自然の中のレストラン」と言うだけあって、駅からも遠く交通も不便なところだった....。
しかし、都内では体験できない眺望とそのお料理はたいへん美味しく大満足。環境、雰囲気も食事の楽しみと切り離せない部分だということを実感した。

イギリスかどこかのレストランだと、i-podで波の音を聞きながら食べる料理が出るレストランがあるそうだし。
ただ「食べる」ということだけではなくて、その場所その季節でしか体験できないことを大事にするようなレストランは今後、レストランとしての価値を高めていくという考えに、この本を読んで腹オチした。

エル・ブリの一日―アイデア、創作メソッド、創造性の秘密エル・ブリの一日―アイデア、創作メソッド、創造性の秘密
著者:フェラン アドリア
販売元:ファイドン
(2009-02)
販売元:Amazon.co.jp
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この本に出会う前から、料理の新ジャンルに「分子料理」というのがあって自分の中ではアツいテーマだった。
今思えば、数年前にいった「タパス モラキュラーバー」もそのひとつだと思う。そのときはその新ジャンルの存在も知らなかった。

その「分子料理」の代表的レストランといえば、世界で最も予約が取れない「エル・ブリ」だそうで、「エル・ブリ」についてのこの本が、最近読んだ書籍の中では印象的すぎたので、この気持ちを忘れないうちに記録しておこうと思った。

「エル・ブリ」は、スペインのバルセロナから車で3時間くらいのところにある世界的に有名なレストラン。
とても交通が不便であるにもかかわらず年間200万件もの予約が入るが、その中で実際に食事ができるのは8,000人。

さらに1年の半分は新メニューのための食材や調理法の研究期間になるため、レストランがやっていないのも特徴的で、その期間も営業すればもっと繁盛するのにね!と考えるひともいるかもしれないが、そうではない価値観について述べている部分が印象的だった。

独自の料理技術を開発する時間があってこそ、人を引きつけるお料理を提供し続けることができると思うので、私はとても納得した部分でもあったので。

そして、この本の中では写真付きでレシピが惜しげもなく掲載されている。
たとえば、ハムメロンというレシピについては、この写真(amazonから引用)にあるような飲み物!

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ハムのコンソメの中にメロン果汁を小さい球体に固めたものを浮かせるとか。
確かに料理は科学だわ...。そして、フリーダムだわ...。
このようなレシピはクックパッドでは、「つくレポ」してもらえないだろうけども...。
シェフ自身が、日本の懐石料理に影響をうけているだけあって、その面影があるお料理もレシピには多かった。

レシピには、当たり前のように液体窒素や注射器、エスプーマなど、特殊な器具や材料が必要なものが...。
というか、ほとんどそんな感じ。
難易度高すぎ。無茶言うなって。作れないよ!!と、読みながら、思わず声出たよ。

残念なことに、2012〜2013の2年間は、シェフが働き過ぎのためレストランを休業するという。
そういう休暇をけしからんというのではなくて、欧米では創造の一旦を担う仕組みとして受け入れられやすいのではないかな。
海外ドラマ、と言ってもCSI:科学捜査班では、ラボの主任がサバティカル休暇を取得していたし働き方のスタイルも、世界はいろいろなんだなあ。

ちょっと調べてみたら、日本でも、「分子料理」についてはいろいろ探せばありそう。

ANAインターコンチネンタルホテル東京の「MIXX バー&ラウンジ」のカクテルにもあるらしいことは、なんとなく知ってるけど。
カプレーゼがカクテルになってるとか、どんな感じなんだろうな。行ってみたい。


あと、「オリオール・バラゲ」も元エルブリのデザートシェフの店みたいですね。白金のほうにあるチョコレート屋さん。(雑な説明...)